死亡事故について

ある日突然、交通事故でご家族や大切な方を亡くされた悲しみは計り知れないものと思います。

このページをご覧の皆様の中には、そのような悲しみ、苦しみの中で、更に加害者との対応や警察への対応、或いは損害賠償のことでお悩みになられている方もおられると思います。

残念ながら、死亡事故においても他の交通事故同様に、保険会社からの提示は適切でないケースが少なくないという事実を念頭に、冷静に対応することが非常に重要です。

被害の状況について

 死亡事故の損害賠償額は、過失割合の程度によって、大きく異なります。
突然の事故に巻き込まれてしまって、「どうして・・・」「なぜ、うちの家族が・・・」と思っておられる中で、例えば「過失割合3割」などと言われると、「ふざけるな!」という気持ちになるのも無理はありません。
 
 死亡事故の場合、被害者はお亡くなりになられているため、事故状況や過失割合について、加害者の証言を基に被害者にとって不利な内容で進められることがあります。このような場合は、弁護士に依頼すると、実況見分調書や事故目撃者の証言などから、基本の事故形態を判別し、被害者に不利な状況にならないよう代理人として活動し、適正な損害賠償金の受け取りが可能になります。
 

死亡事故の場合に問題となりやすい費目

①死亡慰謝料

死亡慰謝料については、一般的に以下のように分類されることが多いです(赤い本基準)。なお、これらは、死亡慰謝料の総額であり、被害者本人分はもちろん近親者の慰謝料も含まれているとされます。
 
 
一家の支柱の場合  2800万円
母親・配偶者の場合 2500万円
その他       2000~2200万円
 
属性 死亡慰謝料金額の目安
一家の支柱(主として被害者の収入で生計を立てている者) 2800万円
母親・配偶者 2500万円
その他(独身の男女、子供、単身の高齢者など) 2000~2500万円

 

②死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が生存した場合に得たであろう経済的利益相当額をいいます。

算定方法は、
基礎収入額×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
で算定します。

死亡逸失利益についても、基本的には後遺障害逸失利益と同様の考え方ではありますが、後遺障害逸失利益と異なり、労働能力喪失率という概念がなく(死亡の場合には労働能力喪失率は100%であるため)、他方生活費控除率が問題になります。
 
生活費控除率とは、被害者が得るであろう財産的金額からその生活に必要な金額を控除する必要があるところ、被害者が得るであろう財産的金額から生活費が占めているその割合のことをいいます。生活費にどれくらい使うかは個人差があるものの、一般的には目安として以下のように分類されることが多いです(赤い本基準)。

属性 生活費控除率の目安
一家の支柱 被扶養者が1人の場合 40%
  被扶養者が2人以上の場合30%
女子 30%
男子 50%
 
さらに、高齢者の場合、死亡逸失利益は年金の逸出利益性も問題になることが注意が必要です。簡単にいうと、生活保障の色彩の強い年金(老齢厚生年金等)は逸出利益性が認められていますので、その点も併せて検討する必要があります。          
 

③葬儀費用

葬儀費用は原則として150万円です。ただし、これを下回る場合には実際に支出した額となり、逆にこれよりも多額の葬儀費用をかけた場合にはその必要性と立証資料をもとに実額で計算されることになります。
 
死亡事故においては、とりわけ死亡逸失利益においては適切に賠償金の計算が行われていないことが往々にしてあります。

死亡事故の場合損害賠償請求を行うことができるのは、ご遺族の方だけです。

失われた命の対価を安く評価されてはいけません。
ご遺族の方は慎重に検討する必要があると思います。

お困りのことやご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。
 

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